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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
08 その七 石の下
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,242 字 · 65 页
「それで、金箱の在りかを、どなたか突きとめましたか」
「それが未だに分らねえだねえ。チョックラ指をさしたぐらいじゃ分らないねえ」
「そうでしょうなア」
二十年前のこととは云え、あの碁に負けた手筋だけは、どうして忘れられようか。石の下! 実に無念の見落し。石の下!
それだ! 甚八はひそかに思った。
「そうだとも。アア、大変なことだぜ。津右衛門が必死に指したのは、ほかでもない、あの碁盤だよ。碁燈に仕掛けがあるものか。あの最後の局面。今や黒のイノチとり、オレが必死に考えていた見落しの筋、石の下、があるだけじゃないか。碁を知らない者には分らないが、いまわの際にはそんなことは云ってられやしねえや。するてえと、この秘密を見破ることができるのは、天下にオレが一人だけ。オレがあの局面の説明をしない限りは誰にも分りやしないのだ」
まさかに千代が相当の打ち手で、この秘密を見破っているとは知らないから、甚八の胸にはムクムクと宝探しの黒雲がむれたった。
「フン、おもしれえや」
と甚八は腹に笑った。
「志呂足の一味がどういう企みでオレを呼びやがったかは知らないが、その手間賃はフンダンにもらってやるからな。