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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
08 その七 石の下
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,242 字 · 65 页
ただ見つめているだけであるが、まったく変化がなく、ゆるむことも、強くなることもなかったし、とぎれることもなかった。よそから見ればなんでもない視線であるが、その一途な粘着力でからみつかれた相手の目には、どうしようもない重さであった。視線は厚みも重さもある棒状のものとなって、目の中へグイグイくいこんでくるし、そこまで意識してしまうと、モチのように宇礼の頭にからみつき、重く突きこみ、こねついて頭全体がその重みだけでつぶれそうになるのであった。
「それ。この前あなたがしたことを、あなたがしてみせなさる番ですよ」
宇礼の顔はあわれみを乞うのだか、絶望したのだか、新十郎に挑むのだか、わけが分らない顔になった。宇礼はフラフラ立ち上った。塩壺を持って井戸端へ行き流しへ塩をあけて水で洗い流した。彼女は再び台所へ戻り、塩のつまった大きなカメから、二ツカミの塩を壺の中へ入れた。
ちょうど、それをやりとげた時だった。二階からギンとソノが駈け降りて、入間玄斎をよびに駈け去ろうとしたのである。
階下では宇礼が、階上では志呂足、須曾麻呂、比良の三名が、それぞれ捕えられていたのである。