轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

むかしのかじ

昔の火事

宮本 百合子

「改造」1940(昭和15)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,494 字 · 21 页

青空文庫

叫んだり、馳けずりまわり、稲の束をかついで逃げたり、どんなにみんながびっくりしただろう。その光景を思いやると、辰太郎は何だかひどく可愛そうになった。火事だア、とどんな言葉で叫んだのだろう。そして、奇妙なことに、竪穴の面積が小さいせいか、みんなの体が今の大人よりは小さかったように思えた。その小さい連中が、ここをあっちこっちへ駈けまわったようで、いつか見た火事の記憶から、その太古の火事も、沢のむこうの櫟林がうす蒼く輝いてかすんでいる風のない月夜に、ボーと赤く燃え上ったとしか思えないのであった。

感銘の生々しいつよさが、発掘の終ったこととも結びついて、辰太郎はその晩妙に悲しい心で眠った。或る朝目が醒めたら、いかにも夏の末らしい雨降りであった。幅のひろい雨がザアと降っている。すぐ、竪穴はどうしたろうと、辰太郎は思った。猛之介は、町会議員の補欠がどうこうということで朝飯をしまうと耳の遠い岩本と番傘をさして出て行った。小やみになったとき、辰太郎はゴム長で、開鑿道路のひどい泥濘の中を歩いて、昭和合金の仮通用門を入って行った。職人はペンキ屋が一人来ているきりであった。