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ほしとはしらをかぞえたら
星と柱を数えたら
小川 未明
「小学男生」1921(大正10)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,679 字 · 4 页
ある日のこと、ふと、父親は、なにか考えると、二人を自分の前に呼びました。兄と弟は、なにごとだろうと思って、父親の前にすわって、顔をながめました。
「私は、もうだいぶ年を老った。早く財産をおまえがたに分けてやって、隠居をしたいと思う。けれど、そのかわりおまえがたは、私のいいつけたことをしなければならない。」と、父親はいいました。
「お父さん、私たちのできることなら、なんでもいたします。むずかしいことでなければ。」と、兄と弟はいいました。
父親は、兄に向かって、
「おまえは、外を歩くことがきらいだから、夜になったら、空に出る星の数を数えてみれ。目に見えるのだけ、いくつあるか、当てたなら財産を分けてやる。」
父親は、弟に向かって、
「おまえは、毎日、出歩くことが好きだから、この村はずれから十里あちらの町に出るまで、電信柱の数が幾本あるか、かぞえてみれ。それを当てたら財産を分けてやる。」
こう、二人にいいました。兄と弟は、たがいにこんなことはぞうさもないことだと答えました。
弟は、すぐに出発しました。兄は、日の暮れるのを待って、外の木の下に腰をかけました。そして、よく晴れわたった夜の空を仰ぎました。