轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せいざ
星座
有島 武郎
1922(大正11)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页
それが渡瀬には容易に専有することのできない宝だと考えれば考えるほど、無体な欲求は激しくなった。教師としてこれほど信頼されているのをという後ろめたさを彼は知らず知らずだんだんに踏み越えていった。しびれるような欲望の熱感が健康すぎるほどな彼の五体をめぐり始めた。
色慾の遊戯に慣れた渡瀬には、恋愛などというしゃら臭いものは、要するに肉の接触に衣をかけたまやかしものにすぎない。男女の間の情愛は肉をとおして後に開かれるのだと、今までの経験からも決めている渡瀬には、これほど嵩じてきた恐ろしい衝動を堰きとめる力はもうなくなりかけていた。彼は顔にまで充血を感じながら、「おぬいさん逃げるなら今のうちだ。早く逃げないと僕は何をするか、自分でも分らないよ」と憫れむがごとくに自分の前にうずくまる豊麗な新鮮な肉体に心の中でささやいたが、同時に、「逃げるなら逃げてみろ。逃げようとて逃がしてたまるか」と頑張るものがますます勢いを逞しくした。眼の前がかすみ始めた。
いつの間にかおぬいさんの声がしなくなっていた。それに気づくとさすがに渡瀬は我れに返った。そしてさすがに自分を恥じた。