轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せいざ
星座
有島 武郎
1922(大正11)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页
そんな抽象論で引きさがるかい。
「あなたは実際、たとえば星野か園かに恋を感じたことはないのかなあ」
このくらいいっても応えないか。
と、今まで素直に素直にとしていたらしいおぬいさんの顔色がさっと変って、死んだもののように青ざめた。俯向けた前髪が激しく震えだした。今度こそは真から腹を立てて、貞女らしい口をきくだろう、そう渡瀬が思っていると、おぬいさんは忙がしく袂を探ろうとしたが、それも間に合わなかったか、いきなり両手を眼のところにもっていって、じっと押えた。石になったかと思われるほど彼女は身動きもしなかった。
渡瀬は不意を喰ってきょとんとした。……はじめて彼は今まで自分が何をしていたかを知った。彼は自分がこれほど酷たらしい男だとは思わなかった。どうして残虐な気持があとからあとから湧きだして、彼に露骨な言葉を吐かしたかが怪しまれだした。俺は悪党だ。俺は悪人だ。その俺にもおぬいさんが善人なのはよくわかる。何、それは前からわかっていたんだ。それだのに俺は何んのためにおぬいさんに嫌われるようなことをたて続けにしゃべっていたのだろう。俺は悪党だが善人を悪党の群に引張りこむほどの悪党ではないんですよ、おぬいさん。