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せいざ

星座

有島 武郎

1922(大正11)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页

青空文庫

「僕は君の言葉をありがたくさっきから聞いていたんだよ。よく考えてみよう」

「考えてみよう?……好男子、惜しむらくは兵法を知らず……まあいい、もう行け」

「僕も人見君といっしょに君を送ろう」

「酔不成歓惨欲別か……柿江、貴様ははじめから黙ったまま爪ばかり噛んでいやがるな……皆な聞け、あいつは偽善者だ。あいつは俺といっしょに女郎を買ったんだ」

「おいおいガンベ、酔うのはいいが恥を知れ」

それはすべてを冗談にしてしまおうとするような調子だった。

「恥を知れ? はははは、うまいことを言いやがるな。……」

まだいい募りたかったが、その時渡瀬は酔のさめてくるのを感じた。それは何よりも心淋しかった。寝こんでしまって自然に酔いがさめるのでなければ、酔ざめの淋しさはとても渡瀬には我慢ができなかった。彼は立ち上った。

「便所か」

と人見も同時に立ってきた。廊下に出るときゅうに刺すような寒気が襲ってきた。婆やまでが心配そうにして介抱しに来た。渡瀬は用を足しながら、

「婆や、小便は涙の一種類で、水と同なじもんだ……じゃなかったかな……とにかくそういうことを知ってるか、はははは」

といってしいて笑ってみたが、自分ながら少しもおかしくはなかった。