轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せいざ
星座
有島 武郎
1922(大正11)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页
顔をすっかり頭巾で包んで、長い手綱で遠くの方から橇を操っている馬方は、寄り道をするようにしておせいを覗きこみに来た。幾人となく男女の通行人にも遇った。吠えつきに来た犬もあった。けれどもおせいにはそれらのものが、どれもこの世界のものではないようだった。今まで父といっしょにいたというのも嘘のようだった。万人が行ったり来たりする賑かな往来、そこでおせいが何百人何千人となく行き遇った人々、その中には、おせいが歩いているような気持で歩いている人がやはりいたのだろうか。それにしては自分は今まで何んというのんきな自分だったろう。そんな苦労を持っているらしい人は一人だって見当らないようだったが。……人間っていうものはやはりこんな離れ離れな心で生きてゆくものなのだ。底のないような孤独を感じて彼女はそう思った。
主家の大きな門の前に来た。朋輩たちがおせいの帰りの遅いのをぶつぶつ言いながら、彼女の分までも働いているだろうと思うと気が気でなかった、大急ぎで門を駈けこんだ。
こちらから挨拶もしないうちに、台所で働いてる女中の一人が、
「早かったわね。奥さんがお待ちかねよ」
といった。