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せいざ
星座
有島 武郎
1922(大正11)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页
そして最後に彼はおぬいさんにこの上なく深い愛と親しみとを持っていることをはっきり見出だした。そうなることが園にとってはきわめて自然ないいことだった。この発見は園の心をかつて覚えのない暖かさと快さとに誘いこんだ。ふとその時星野のことを思い浮べてみた。しかしこれはもう園にとっていささかの暗らい影にもなってはいなかった。すべての良心においてこの上なく深く、この上なく暖かくおぬいさんを愛している、そのすがすがしい満足に障りとなるものは一つもなかった。おぬいさんが園を愛していない、その疑いすらも気にはならなかった。実際そうであったところが、園はおそらく平気だったろうと思われるほど園の心は静かに満ち足っていた。
ただし、残された一つのことは、自分の気持をゆがめずに三隅母子に伝える時機と方法とをつくることだけだった。しかしそれさえ園にとっては格別むずかしいことではなくみえた。父死亡の電報を見た時でも、この場合その問題をどう片づけるかさえ考えはしなかったのだが、欠席届を書き終えた時、保証人なる槍田氏は三隅の小母さんの知り合いだから、通知かたがた三隅家に立ち寄ってその判を貰うように頼もうと思いつくと同時に、自分の心持もそのついでにいってしまおうと決心したのだ。