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せいざ

星座

有島 武郎

1922(大正11)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页

青空文庫

「おたけさんから何か伝言があったろう」

「いいえ」

園はまるでおとなしい子供のようににこついた。

「柿江君さっきの葉書はどうしたろう。渡瀬君に見せてくれたの」

笑うべきことが持ち上っていた。星野の葉書は柿江の手の中に揉みくだかれて、鼠色の襤褸屑のようになって、林檎の皮なぞの散らかっている間に撒き散らされていた。

「困るなあ、それにね、三隅のおぬいさんの稽古を君に頼みたいからと書いてあったんだのに……それだから渡瀬君に渡してくれって頼んでおいたじゃないか」

「君にとは俺にかい」

園に顔を見つめられながら、半分は剽軽から、半分は実際合点がいかない風でガンベは聞き返した。法螺吹で、頭のいいことは無類で、礼儀知らずで、大酒呑で、間歇的な勉強家で、脱線の名人で、不敵な道楽者……ガンベはそういう男だったのだから、少なくとも人が彼をそう見ていることを知っていたから。

「そうだ、君にだ」

そう園のいうのを聞くと、ガンベは指の短かい、そして恐ろしく掌の厚ぼったい両手を発矢と打ち合せて、胡坐のまま躍り上がりながら顔をめちゃくちゃにした。

「星野って奴は西山、貴様づれよりやはり偉いぞ」