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せいざ
星座
有島 武郎
1922(大正11)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页
なら、卒業の上採用されるという条件で話しこんだら、会社とか銀行とかが喜んで学資を出しそうなものだ。ひとつ校長の方からでもかけ合ってもらうのが得策だろうとの返辞だったと父は言った。
そこに母が前掛についた米の粉をはたきながらはいってきた。父は話を途切らそうか続けようかと躇らった風だったが、きゅうに調子を変えて、中島の養子というのを眼下扱いにして話を続けた。
「中島に養子にはいるについちゃあれはわしが口をきいてやったようなものだ。ろくな元資も持たず七年前に富山から移住してきた男だったが、水田にかけては経験もあるし、人間もばかではないようだったから、……その……何んとかいったなあもう一人の養子は……何んとかいった、それにわしが推薦したのがもとになったんだ。それをおみさ(と今度は母の方に)今日会うとな、『金でもありあまっていることならとにかく、さもなければ学問はまあ常識程度にしておいて、実地の方を小さい時から仕込むに限りまっさ』とこうだ」
そして惘れはてたという顔を母にしてみせた。
それはしかし父が清逸の弟について噂する時誰にでも言って聞かせる言葉ではないか。