轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せいざ
星座
有島 武郎
1922(大正11)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页
「兄さんは悪い病気でねえか」
しばらくしてから突然純次のこう激しく叫ぶ声が聞こえた。今度は純次は母と言い争いを始めたらしい。母も何か言ったようだったが、それは聞こえなかった。
「肺病はお母さんうつるもんだよ」
純次の声がまた。それは聞こえよがしといってよかった。
「そうしたわけのものでもあるまいけんど」
「うんにゃそうだ」
そのあとはまた静かになった。清逸は早く寝入ってしまうに限ると思って夜着の中に顔を埋めた。寝入りばなの咳がことに邪魔になった。
純次が鼻緒のゆるんだ下駄を引きずってやってくる音がした。清逸は今夜はもう相手になっていたくなかったので寝入ったことにしていようと思った。
思いやりもなく荒々しく引戸を開けて、ぴしゃりと締めきると、錠をおろすらしい音がした。純次は必要もない工夫のようなことをして得意でいるのだが、その錠前もおそらくその工夫の一つなのだろう。こんな空家同然な離れに錠前をかけて寝る彼の心持が笑止だった。
やがて純次は、清逸の使いふるしの抽出も何もない机の前に坐った。机の上には三分芯のラムプがホヤの片側を真黒に燻らして暗く灯っていた。