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えいがとらいのもんだい
映画と癩の問題
伊丹 万作
「映画評論」1941(昭和16)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,941 字 · 10 页
そうしてこのようにいかなる意味でも救いのないものは所詮芸術の対象として適当なものとは考えにくいのである。
しかし、社会問題としての癩は、その解決が必ずしも至難ではない。先進諸国の例に見ても、隔離政策の徹底的遂行によって、癩はほとんど絶滅あるいはそれに近い状態に達している。したがって、現在のところ我々が癩問題に対する唯一の正しい態度は、隔離政策の徹底によって癩を社会的に解決しようとする意志に協力する立場をとる以外にはあり得ないと思う。そして原著『小島の春』においては明らかにこのような立場をとっている著者の姿をうかがうことができるのである。しかしシナリオによって想像する映画「小島の春」は癩の解決などということよりも小川正子さんのしろうとくさい和歌のほうに多くの関心を示しているかのようである。
癩のような、人生の大問題を扱った場合に、何よりもまず作者がその解決をどう考えているかということを我々が知りたく思うのは決して無理ではあるまい。もっとも答にもいろいろある。具体的の場合もあれば、抽象的の場合もあり、あるいは象徴的の場合もある。ずいぶんわかったようでわからぬ場合もあるが、作者がそれに関心を持ち、責任を感じ、答をさがす努力を惜しまなかったことさえわかれば、我々はそれで満足する。