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はるさきのあさのこと

春さきの朝のこと

小川 未明

「小学五年生」1949(昭和24)年4月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,951 字 · 6 页

青空文庫

それが満開の時分はちょうど、一村が銀世界となる。中国のいなかには、すももばかりの村があるよ。すももの木に馬をつないで、休んだときのことだ、村の子どもがおおぜいそばへよってきて、はじめは、えんりょして、だまって見ていたが、すこしなかよしになると、馬に乗せてくれといってきかない。そのようすが、あまりむじゃきで、かわいいので、つい一人乗せてやると、こんどはおれの番だ、おれにもといって、つぎつぎに前へ出る。しかたがないから、公平に、かわるがわる、乗せてやると、なかには馬をひいて歩かせてくれというのもある。子どもは、しょうじきだ、思ったとおりいうのだな。ただ一人、どうしても、馬に乗らない子があった。乗せてやるといっても、あとずさりする。どこにもこういう気の弱い子がいるものだ。その子は、いちばんかわいらしい女の子みたいな、顔をしていた。国はちがっても、人情や、子どもの遊びに、ちっともかわりはない。たとえ、おとなどうしが、けんかをしても、子どもどうしは、関係なく、いつだってお友だちになれるよ。」と、おじさんは、心が明るくなったような、話をしてくれました。

こう聞くと、私は、なぜおとなどうしは、たがいに、りくつをいわなければならないのだろうと、ふしぎな気がしました。