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はるのひ

春の日

小川 未明

「教育・国語教育」1936(昭和11)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,003 字 · 5 页

青空文庫

しかし、三人は、いつとはなしに仲は直りますが、もし、徳ちゃんがいなかったら、そう容易に打ち解ける糸口が見つからなかったかもしれません。

ある日のことでした。三人は、いっしょに、お濠の方へ歩いてゆきました。雪が消えて、水がなみなみと、午後の日の光に輝いていました。土橋のところへは、よく、あめ屋や、おもちゃ店が出ています。

この日は、珍しく、紙芝居のおじいさんがきていました。

「紙芝居だね。」

「おもしろいな。」

そんなことをいい合って、おじいさんの方へ走ってゆきました。

*   *   *   *   *

おじいさんは、五、六人の子供を前に集めて、お話をしていました。

――王さまは、戦争からお帰りなさると、その美しいお后をおもらいになりました。三国一の美人ですけれど、まだお笑いになったことがありません。どうしたら、愛するお后が笑ってくれるだろうか? 王さまは、山と宝物をお后の前に積まれました。けれど、やはりお笑いにはなりませんでした。

御殿のお庭に、鐘がつるされていました。

「この鐘を、なんになさるのでございますか。」と、お后が、王さまにお問いになりました。