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しょうわにねんのにかかいとびじゅついん

昭和二年の二科会と美術院

寺田 寅彦

「霊山美術」1927(昭和2)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,272 字 · 7 页

青空文庫

これはおそらく壁面へずっと低く掲げればちょうどよくなると思う。静物も美しい。これはこの人の独歩の世界である。

山下新太郎。 この人の絵にはかつていやな絵というものを見ない。しかし興奮もさせられない。長所であり短所である。時々は世俗のいわゆる大作を見せてくださる事を切望する。

安井會太郎。 「桐の花咲くころ」はこれまでの風景に比べて黄赤色が減じて白と黒とに分化している事に気がつく。これは白日の感じを出しているものと思われる。果物やばらのバックは新しいと思う。「初夏」の人物は昨年のより柔らかみが付け加わっている。私は「苺」の静物の平淡な味を好む。少しのあぶなげもない。

横井礼市。 この人の絵はうるさいところがなくてよい。涼しい感じがある。この人の絵の態度は行きつまらない。どこまでも延びうると思う。

湯浅一郎。 巧拙にかかわらず一人の個人の歌集がおもしろいように個人画家の一代の作品の展覧はいろいろの意味で真味が深い。湯浅氏の回顧陳列もある意味で日本洋画界の歴史の側面を示すものである。これを見ると白馬会時代からの洋画界のおさらえができるような気がする。ただこの人の昔の絵と今の絵との間にある大きな谷にどういう橋がかかっているかが私にはわからない。