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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
岡本綺堂『時代推理小説 半七捕物帳(六)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,831 字 · 396 页
それから神田へ帰る途中、江戸川橋でお冬のすがたを認め、更に長三郎にも出逢ったことは、前に記した通りである。そこで吉五郎がどんな発見をしたかは、留吉はもちろん知らなかったが、親分が自分ひとりをここに残して行った料簡はよく判っていた。
「あの医者は手軽そうなことを云ったが、なかなかそうは行かねえらしい。腕も足もずきずきと骨が痛んで、自由に身動きもならねえ。あしたは駕籠に乗って骨つぎの医者へ行って、よく診て貰わなけりゃあならねえ」
寺の納所たちへ聞こえよがしに、彼はこんなことを云って、わざと苦しそうに顔をしかめていた。
そこに寝床を敷いてもらって、彼は頭から衾を引っかぶってしまったが、自分には大事の役目のあることを承知しているので、今夜は眠らない覚悟をきめて、しずかに夜の更けるのを待っていると、目白不動の四ツ(午後十時)の鐘を聞いて、寺内もひっそりと鎮まった。
留吉はこのあいだからこのあたりを徘徊して、附近の様子を探っていたので、この寺の相当に大きいことを知っていた。建物は古いが手入れもよく行き届いていて、寺内には住職のほかに納所坊主が二人、小坊主が一人、若い寺男が一人、都合五人が住んでいる。