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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

岡本綺堂『時代推理小説 半七捕物帳(六)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,831 字 · 396 页

青空文庫

「二丁目の角屋という酒屋だそうですから、そこへ行って訊きましょう」

二人は更に相生町二丁目の酒屋をたずねると、帳場にいる番頭は答えた。

「お俊さんの家では二、三日前から引っ越すという話はありました。そこで、きのうの朝、知らない男の人が来て、これから引っ越すとことわって、家賃や酒の代もみんな綺麗に払って行きましたから、わたしの方でも別に詮議もしませんでした。引っ越し先は浅草の駒形だということでした」

「お俊は柳ばしの芸者だったと云うが……」と、半七は訊いた。「その店請人は誰ですね」

「お俊さんの旦那は深川の柘榴伊勢屋だそうで、店請はその番頭の金兵衛という人でした」

「お俊さんというのはどんな女でした」

「商売人揚がりだけに、誰にも愛嬌をふりまいて、近所の評判も悪くなかったようです。わたし共の店へ寄って、時々に話して行くこともありましたが、ひどく鼠が嫌いな人で、あの家には悪い鼠が出て困るなぞと云っていました」

お俊と鼠と、それを結び付けて考えても、差しあたりいい知恵が出そうもないので、ほかに二、三のうわさ話を聞いた後、半七らは角屋の小僧に案内させて、お俊のあき家を一応あらためたが、ここにはなんの獲物もなかった。