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じだいへいそくのげんじょう

時代閉塞の現状

石川 啄木

(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,915 字 · 20 页

青空文庫

それはほかではない。「いっさいの美しき理想は皆虚偽である!」

かくて我々の今後の方針は、以上三次の経験によってほぼ限定されているのである。すなわち我々の理想はもはや「善」や「美」に対する空想であるわけはない。いっさいの空想を峻拒して、そこに残るただ一つの真実――「必要」! これじつに我々が未来に向って求むべきいっさいである。我々は今最も厳密に、大胆に、自由に「今日」を研究して、そこに我々自身にとっての「明日」の必要を発見しなければならぬ。必要は最も確実なる理想である。

さらに、すでに我々が我々の理想を発見した時において、それをいかにしていかなるところに求むべきか。「既成」の内にか。外にか。「既成」をそのままにしてか、しないでか。あるいはまた自力によってか、他力によってか、それはもういうまでもない。今日の我々は過去の我々ではないのである。したがって過去における失敗をふたたびするはずはないのである。

文学――かの自然主義運動の前半、彼らの「真実」の発見と承認とが、「批評」として刺戟をもっていた時代が過ぎて以来、ようやくただの記述、ただの説話に傾いてきている文学も、かくてまたその眠れる精神が目を覚してくるのではあるまいか。