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じげんばくだんきたん
時限爆弾奇譚
海野 十三
――金博士シリーズ・8――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,934 字 · 20 页
こうして住民は、二十九日爆弾の影に怯え、三十日爆弾を噂し、三十一日爆弾の有無を論じ、一日爆弾に賭けるというわけで、ついに金博士の時限爆弾は、住民たちの生活の中に溶けこんでしまった、という罪造りな話であった。
その間にも、金博士に、なんとかして面会のチャンスを掴もうとする決死的訪問客は、入れかわり立ちかわり博士の地下室に殺到したのであるが、博士は常に油断をせず、ついぞ彼等の前に姿を現したことがなかった。
しかしながら、博士も木石ではない。一週間も二週間もこんなところに籠城しているのに飽きてきた。
4
或る日、博士は瓶詰のビスケットと、瓶詰のアスパラガスとで朝飯をとりながら、ふと博士の大好きな燻製もののことを思い出した。
「やあ、鮭の燻製でもいいから、ありつきたいものじゃな。うちの冷蔵庫の隅に尻尾ぐらいは残っていそうなものだ」
博士は生唾をごくりと呑みこみながら、秘書を呼んで冷蔵庫を探させた。
「先生、尻尾どころか、鱗さえ残っていません。絶望です」
「ふーん、そうかね。ふふーん」
博士の失望落胆は大きかった。博士は、大きな頭を、しばらくぐらぐら動かして考えていたが、