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あんごうすうじ

暗号数字

海野 十三

「現代」大日本雄辯會講談社、1938(昭和13)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,312 字 · 39 页

青空文庫

なぜそんなことになったか。

その間の消息はのちに、帆村が帳簿の間から発見した大辻の手記によって明らかになった。それには鉛筆の走り書でこうかいてあった。

「先生が大怪我をされたからすぐ来てくれという知らせで、私は出かけます。八月二十六日、午後十一時三十七分」

これで一切は明白となった。諜者連の方では、大辻が事務所に残っていては短波通信機がつかえないから、帆村が大怪我をしたなどといって、大辻を誘いだし、片づけられてしまったに相違ない。大辻と来たら、おとなしく監禁されているような男ではないから、このような最期を招いたのであろう。

「こんなわけで、僕はすっかりふりまわされて、恥をかくやら、大失態を演ずるやら、今思い出しても腋の下から冷汗が出てくるよ」

前代未聞の暗号数字事件を述べ終えて、帆村は大きな吐息を一つついた。