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ダーク・ミニスター

暗黒公使

夢野 久作

「新作探偵小説全集 全九巻」1933(昭和8)年1月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 214,561 字 · 420 页

青空文庫

この時分の私の頭は余程変になっていたものと見えて、随分杜撰な広告を出したもので、この広告のために私は、それから後一箇月ばかりの間というもの毎日毎日私の帰りを待ち受けている浮浪人や乞食同様の連中に悩まされ続けたものであった。実は柏木の狭山といえば多分、誰でも私の職務上の名声を知っている筈だから、滅多な者は寄り付くまいと思って履歴書、身元証明不要と出しておいたのであるが、案に相違して碌なものはやって来なかったので、私は些かならず自尊心を傷けられたものであった。その思い出の広告をこの少年は、今までどうして持っていたものであろう。

「この広告は私が出したものに違いありませんが、貴方はどうしてこれを持っていましたか」

「紐育の中央郵便局で見付けました」

「……え……紐育の中央局で……」

「はい。私がそこのボーイになっておりますうちに受取人のない小包郵便を焼き棄てるのを手伝わされた事があります。私達はその小包を焼き棄てる前に一つ一つ開いて、危険なものだの貴重品だのが入っていないかどうかを係りの人に見てもらうのですが、その時に取棄てた包紙の中にこの新聞が混っていたのです」