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ダーク・ミニスター

暗黒公使

夢野 久作

「新作探偵小説全集 全九巻」1933(昭和8)年1月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 214,561 字 · 420 页

青空文庫

……宜し……俺は嬢次少年を見事に取って押えてくれよう。そうして事実、俺を愚弄したものであるかどうかを白状さしてくれよう。

やっとそれだけの決心をすると、やがて眼の前のスープの皿が眼に付いた。これは私が無我夢中の中に註文したものらしいが、果してその通りかどうかを考える前に……私は何もかもなく冷たくなったスープ皿を引き寄せて音を立てて貪り吸うた。それと一緒に俄かに空腹を感じて来たので、そこにあった黒麺麭を左手に掴み、右手で肉叉を使ってハムエッグスを掬いながら、野獣のように噛じり、頬張り、且つ呑み込んだ。そうして最後に角砂糖をガリガリと噛み砕きながら、冷え切った珈琲をガブガブと呑み干してしまった。するとそれは普通の珈琲でなくてウイスキーを割ったものであることが、飲んだ後から解ったので、酒に弱い私は慌てて水瓶を持って来させて、コップで二三杯立て続けに飲んでアルコール分を弱めようとしたがもう遅かった。最前からの疲れと、アルコールの利き目とが一緒にあらわれたものであろう。爪楊枝を使う間もなく崩れ落ちるように睡くなった。全身の筋肉が綿のようにほごれて、骨の継ぎ目継ぎ目がぐらりぐらりと弛んで……足の裏が腫れぼったく熱くなって……頭の中が空っぽになって……その身体をぐったりと椅子に寄せかけて……眼を閉じて……全身の疲れ