轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あらしのなか

暴風雨の中

山本 周五郎

「週刊朝日新秋読物号」朝日新聞出版、1952(昭和27)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,339 字 · 30 页

青空文庫

「そう思うわ」娘は三之助の胸へ顔を埋めた、「あたしあんたのするようにするわ、死ぬにしろ生きるにしろ、あんたと一緒でさえあったら本望よ」

「ああもし助かったら」三之助は娘を抱きすくめた、「もし助かったら、こんどこそ」

家がまたひと揺れして、ぐらっと西へ、さらに一尺ばかり傾いた。傾斜が大きくなったので、水がこの部屋まで入って来た。三之助は娘を立たせ、廊下へ出て手摺に捉まった。娘は両手で抱きついていたが、その指は精がぬけたように力がなかった。

「もうひと辛抱だ、おしげ」三之助は娘の躯をひき寄せた、「死ぬか、生きるか、……どっちにしろ長いことじゃあねえ、ほんのもうひと辛抱だぜ、おしげ」

「三ちゃん」

娘はくいいるように男を見あげた。三之助はそれをぐっとひき寄せた。かれらの上へ、雨がざッざッと降りつけ、かぶって来る波が二人の足を洗った。家のまわりで渦を巻く水のすさまじい音が聞え、空には千切れた雨雲が、低くせわしく、北へと動いていた。