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きょくばだんの「トッテンカン」
曲馬団の「トッテンカン」
下村 千秋
「赤い鳥」赤い鳥社、1928(昭和3)年9~11月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 16,620 字 · 34 页
けれど新吉がやると、ファットマンは、象のからだで出来ることは何でもやりました。中でも一番面白い芸当は、新吉と二人で鍛冶屋をやることでした。大きな木琴をつくり、その木琴を新吉が持ってぐるぐるまわり歩きます。ファットマンはその後からついて歩きながら、鼻の先に持った棒で木琴をたたくのです。
新吉が、トッテンとたたくと、ファットマンはカンとたたきます。トッテンカン、トッテンカンと実に調子よく木琴は鳴ります。三角帽をかむり、道化役の服を着た新吉は、そこで大きな声で歌います。
「たたけやたたけ、はげあたま、
トッテンカン。
火花がちるぞ、はげあたま、
トッテンカン。
あははの、あははの、はっはっは、
トッテンカン。」
いうまでもなくこの芸は、新吉がもと鍛冶屋の小僧だったので、それから思いついた芸で、歌の文句の「たたけやたたけ、はげあたま」というのは、鍛冶屋の親方のはげ頭を思い出してつくったものでした。
新吉がこれを歌い出すと、ファットマンも耳をばさばさやり、しつぽをふり、足をあげて、からだ中で笑います。見物人もこれにはみんなお腹をかかえて笑いました。
もし見物人の中に、あの鍛冶屋の意地わるおやじがいたら、どんな顔をするだろう。