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しょもつをあいするみち

書物を愛する道

柳田 国男

「書物新潮」1940(昭和15)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,750 字 · 12 页

青空文庫

西洋でも古い綴り字法だけは皆改めて居る。それも元の姿のままのを見たいという人には、別に保存の方法があって、多数の読書人は皆この読みよい方の本を供せられて居るのである。日本のような綴り方の色々な国で、文庫が其整理の任に当らぬのは誤りである。それだから古書の大多数が、いわゆる高閣に束ねられてしまうのである。日本外史を書き下し文に改め、漢籍を和字文にするということは岩波でも始めて居る。是などは訳でも註釈でもない。漢文の読み方には久しく定まった様式があって、今ならばまだ人が忘れきっては居ないのだから、是も現代語の一部と見てよいのである。

それからもう一つ、我々が古書を疎遠にする理由は、統一の欠けたものが多いこと、何が目的で此本を世に残したのかを、はっきりと把えられないものが多いことである。是は古今の著者気質の大きな差で、現代はかなり問題にする読者というものの想定を、昔の人たちはごく漠然としかして居ない。中には自分の備忘録に過ぎぬと謂ったり、人に見せる積りは無いなどと、信じられないような事を謂った人さえあった。次には一般に著述の期間が、今の人よりは長すぎた。