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しょもつをあいするみち

書物を愛する道

柳田 国男

「書物新潮」1940(昭和15)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,750 字 · 12 页

青空文庫

我々が現代と呼んで居る期間の新著作は、誰が見ても決して数が足りないのではない。寧ろ多過ぎるが為に選択に均衡を期し難く、個々の発行者としては縁故ある著者に偏するの嫌いあり、殊に店で散々売り涸らしたものを、廃物利用するかの如く評せられるものは口惜しいので、出来るだけそれを避けようとするのも致し方が無い。問題はそれよりも以前の、古人の著作をどうしようかである。乏しい乏しいと私たちが騒ぐのも其部分である。

文庫は名の示す如く、本来は許す限りの数量を蔵して置いて、随時に何度でも取出して読めるようにすべきものと自分などは解して居る。今は何時でも買える故に、言わば書店に預けてあるようなものである。是に現代新著が入り難いのは当然であろう。著作権の期間とは関係無く、又一日も早く廉価版の出るのを待って居る者が多かろうとも、書物の「文庫」に編入してよいものかどうかを決するには、どうしても若干の年月を要する。寧ろ早急にそれを取上げることが、やがて再び抹殺する結果をさえ生じたのである。しかもその前代の文献が、日本は又決して少ない国では無かった。帝国図書館などはもう三四十年も前に、両手でも持てない程の目録を発行して居た。