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しょきかん
書記官
川上 眉山
「太陽」1895(明治28)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,182 字 · 36 页
見込んだものを人に取らして、指をくわえているおれではない。狙らった上は決して免がさぬ。光代との関係は確かに見た。わが物顔のその面を蹂み躙るのは朝飯前だ。おれを知らんか。おれを知らんか。はははははさすがは学者の迂濶だ。馬鹿な奴。いやそろそろ政略が要るようになった。妙だぞ。妙だぞ。ようやく無事に苦しみかけたところへ、いい慰みが沸いて来た。充分うまくやって見ようぞ。ここがおれの技倆だ。はて事が面白くなって来たな。
光代は高がひいひいたもれ。ただ一撃ちに羽翼締めだ。否も応も言わせるものか。しかし彼の容色はほかに得られぬ。まずは珍重することかな。親父親父。親父は必ず逃がさんぞ。あれを巧く説き込んで。身脱けの出来ぬおれの負債を。うむ、それもよしこれもよし。さて謀をめぐらそうか。事は手ッ取り早いがいい。「兵は神速」だ。駈けを追ってすぐに取りかかろうぞ。よし。始めよう。猶予は御損だ急げ急げ。
身を返しさま柱の電鈴に手を掛くれば、待つ間あらせず駈けて来る女中の一人、あのね三好さんのところへ行ってね、また一席負かしていただきたいが、ほかにお話しもありますから、お暇ならすぐにおいでを願いたい。