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さいこにほんのじょせいせいかつのこんてい

最古日本の女性生活の根柢

折口 信夫

「女性改造 第三巻第九号」1924(大正13年)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,493 字 · 19 页

青空文庫

私はいわゆる有史以後奈良朝以前の日本人を、万葉人と言い慣してきた。万葉集はほぼ、日本民族が国家意識を出しかけた時代から、その観念の確立したころまでの人々の内生活の記録とも見るべきものである。この期間の人々を、精神生活の方面から見た時の呼び名として、恰好なものと信じている。古事記・日本紀・風土記の記述は、万葉人の生活ならびに、若干は、それ以前の時代の外生活に触れている。ここに万葉集を註釈とし、さらにいま一つ生きた註釈を利用する便宜が与えられている。

万葉人の時代には以前ともに携えて移動してきた同民族の落ちこぼれとして、途中の島々に定住した南島の人々を、すでに異郷人と考えだしていた。その南島定住者の後なる沖縄諸島の人々の間の、現在亡びかけている民間伝承によって、わが万葉人あるいはそれ以前の生活を窺うことのできるのは、実際もっけの幸とも言うべき、日本の学者にのみ与えられた恩賚である。沖縄人は、百中の九十九までは支那人の末ではない。我々の祖先と手を分つようになったころの姿を、今に多く伝えている。万葉人が現に生きて、琉球諸島の上に、万葉生活を、大正の今日、我々の前に再現してくれているわけなのだ。