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さいきんにほんのかがくろん
最近日本の科学論
戸坂 潤
――緒論の部―一般的特色について――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,783 字 · 19 页
と云うのは、今日の日本に於ける社会科学的・歴史科学的・科学論は、マルクス主義に対する、或いはもっと原理的にまた一般的に云い現わせば、唯物論に対する、向背を極度に意識しないでは、あり能わぬのが当然なのである。このさい科学論は、この種の科学の思想的な鍵と見做される。それであるが故に、国史主義的な非科学的科学論も亦、之に対する反動的な分極として、初めて存在出来るわけで、もし一方にこの領域に於ける唯物論的科学が厳存していないとすれば、ああした擬似科学論など凡そ意味のないものであり、誰も真面目に対手にしなかっただろうものだ。
初めから思想的な内容を以て今日に及んでいる社会科学とそれに直接する限りの歴史科学とが、その科学論を通じて、学術的性格そのものと思想との連関を存することは、あたり前である。だが自然科学になると事情は少し別な筈で、マルクス主義の全盛期に於ても、自然科学に関する科学論の意義は、専門家の間に充分の関心を呼び起こさなかった。ブルジョア哲学系統の哲学者・自然科学者・による科学論も、決して充分に学術的尊敬を払われたとは云い難い。ましてプロレタリア・イデオロギーの系統にぞくする科学批判が、ブルジョア大学其の他のアカデミーを中心とする自然科学者達を、いたく刺戟したにも拘らず、あまりブルジョア社会的信用を博さなかっ