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げっせかいばっしょうき

月世界跋渉記

江見 水蔭

「探検世界 秋季臨時増刊 月世界」成功雑誌社、1907(明治40)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,132 字 · 19 页

青空文庫

「どうだ。結果は。」

まず桂田博士が尋ねると、月野博士は快活な調子で、

「余程変った現象があるですねえ。」といいながら、包を下して、その大風呂敷を拡げると、中から出たのはいずれも地球上でいまだ見た事もない珍奇な物ばかりだ。修繕方の三人が驚いて見ていると、博士は得意気にまず、珍妙な形をした人形の土器を出して、「これが、例のヒマラヤ山の後方から二十里ばかりの処に石塊の間に転がっていたのです。余程珍らしいもので、これが僕の一番の土産です。これによって見ると、始めにはきっと月にも人類が生存していたに違いない。でその人間は地球上の石器時代くらいの程度まで進化して滅亡したものらしいです。」

と幾十となき古代遺物をさらけ出しては、宛然小児が珍らしい玩具でも貰ったように、一人でホクホクして喜んでいる。

博士は暫くその獲物に夢中になっていたがやがて思い出したように桂田博士の方を振り向いて、

「貴方の方はどうです。」

「僕の方も先刻出来上った。」

「そうですか、それは何より目出度い。いよいよそれでは明日にでも出発しますかな。」

「さよう。それでは一つ祝杯を挙げようじゃないか。もう空気などありたけ吸う気であの空気孔で大に胸襟を開いて飲もう。