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げっせかいばっしょうき
月世界跋渉記
江見 水蔭
「探検世界 秋季臨時増刊 月世界」成功雑誌社、1907(明治40)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,132 字 · 19 页
「実に荒涼たるもんだなあ。」
と感じ入ったようにいったので、ほかの人々もこの時始めて外を見た。
実に見渡す限り磊々塁々たる石塊の山野のみで、聞ゆるものは鳥の鳴く音すらなく満目ただ荒涼、宛然話しに聞いている黄泉の国を目のあたり見る心地である。
空気は皆無
先刻から大分元気付いて来た晴次と光雄はこの光景を見ると、
「やあ酷いなあ。さあいよいよ出かけようじゃないか。」
と、喜び勇んで最先に窓から飛び出したが、出たと思うと、真蒼になって這入って来て、再びそこに仆れて終った。
助手はこの有様に驚いて、早速介抱に取り懸ったが、月野博士は笑いながら、今二人の開けた窓を手早く閉めて少年の側に立ち寄って、
「あんまりばたばたするから不可ない。僕の思った通りいよいよこの月世界にはもう空気が全くなくなって終っているんだ。」
といったが、急に思い出したように、傍の助手の方を振り向いて、
「おい山本。一寸あちらの貯蔵庫を検べて見てくれないか。先刻の騒ぎで悉皆壊れているかもしれない。あれが使えなくなってはそれこそ大変だ。」
「ハ。」と助手は隣の室へ行ったが直ぐ帰って来て、
「先生、大丈夫です。