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げっせかいばっしょうき
月世界跋渉記
江見 水蔭
「探検世界 秋季臨時増刊 月世界」成功雑誌社、1907(明治40)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,132 字 · 19 页
」
と少年はもう駆け出した。
桂田工学博士は、
「それじゃ僕だけここに留守しているから、皆んなで支度をして来玉え。」
「では頼むよ。」
と月野博士は助手を率いて引返した。
種々の道具を担いで再び大急ぎで、かの洞穴に帰ったがどうしたのか待っているはずの桂田博士がいない。
「どうしたんだろう。」
と大きな声で呼んだが何とも返事がない。五人声を合せて博士の名を呼んだ。それでも何とも答はない。
「多分そこらへ一人で探検に出かけているんだろう。もう程なく帰って来ようから、吾々は少しも早くここの空気の逃げ出さないようにしなければならない。」
と自ら道具を取って石を動かし始める。二少年も助手とともに働いたが、この月世界で物体の軽い事は驚くほどで、馬二頭でやっと運べそうな大石が、杖の先でも手軽く動く。いやそれ処じゃない掌にでも乗せられるくらい。
間もなくそこの工事も出来上ったので一同は一まず飛行器の処まで帰って、晩餐の用意に取り懸った。
やがてそれも出来上って月世界第一回の晩餐会は始まった。
本気で食事をしていた晴次は急に顔を上げて、
「叔父さん。」と博士を呼びかけて、
「桂田さんはどうしたんでしょうねえ。