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ぼうがくととうきょう
望岳都東京
木暮 理太郎
「霧の旅」1934(昭和9)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,243 字 · 61 页
一体南アルプスが東京から見えるのは、北は滝子山、南は本社ヶ丸か又は三ツ峠が限界であって、其間以外へは唯一の聖岳を除いて其他に頭を出すものはない。南アルプスは何処から見るにしても、滝子と三ツ峠、或は黒岳又は本社ヶ丸の附近が止めになって居りまして、それ以外では見ることが出来ません。白峰三山は芝白金台附近でありますと、農鳥岳の頂上の南半から左の斜面へかけて見えますが、三山を望むことが出来ない。白金台より南へ行くに従って、間ノ岳、北岳と次第に見えるようになり、六郷の土手へ行きますと滝子山と本社ヶ丸との間に三山がすっかり出ます。鳥沢の南に倉岳山というのがありますが、丁度其山の上へ農鳥が出るようになって居ります。参考にスケッチを掲げて置きます。これで北岳と間ノ岳とがどうやら市内から見られることになった訳であります。
それから悪沢岳、これもスケッチに出て居りますが、東京からではこの悪沢と塩見とが一番よく見られる。つまり見得る範囲が広い南アルプスの山でありまして、悪沢は市内で浅草、本郷の北部から芝の中部にかけて見られます。本郷の理研の上から、白い雪の山が見えると云うことを黒田正夫君が言って居りましたが、疑もなく悪沢だろうと思います。