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あさのこうえん
朝の公園
小川 未明
「台湾日日新報」1935(昭和10)年12月28日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,137 字 · 5 页
「しごとがないのだろうか? それとも、年をとっていて、しごとができないのだろうか?」
いろいろのことを考えながら見まもっているうちに、いつか自分の父親のすがたが、目にうかんできました。気のせいか、あの男のすがたのどこかにお父さんと似たところがあるようです。
「きょうだいもない、子供もない、ひとりものなのかしら?」
そう考えているうちにおはるは、故郷ではたらく両親のすがたが、まざまざと目に見えるような気がして、この暮れにはなにかお父さんやお母さんのすきそうなものをおくってあげようと思ったのでした。
「さあ、おうちへかえりましょう。そしてまたあとであそびにまいりましょう。」といって、おはるはお嬢さんの手をひいて、おうちへかえりかけました。
公園の花壇は霜枯れがしていて、いまは赤く咲いている花もありませんでした。けれど、黒いやわらかな土からは、来年さく草花の芽が、もうぷつぷつとみどり色に頭を見せていたのです。公園を出るとき、おはるはもういちどふりむいて、あのルンペンのような男を見ました。男は、やはり動かない置きもののように下をむいて、じっとしていました。
ちょうどその日の、昼ごろのことです。