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きにのぼったこども
木に上った子供
小川 未明
「少年倶楽部」1927(昭和2)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,835 字 · 8 页
また、ありがたく思ったでありましょう。
しかし、夕飯の後は、いつも、辰吉は、外に出て、自分の故郷にいるときと同じように、空の星を仰ぎました。やさしい赤い色の星は、そこでも見られたのであります。死んだお母さんは、自分についてきて、この家の屋根の上で、じっと見守っていてくださるように思いました。
「みんなお母さんが知っていてくださるのだ。」と、辰吉は、空を仰ぎながらひとりでいいました。
村の端の方に、寺がありました。寺の境内には、一本の高いすぎの木がありました。夏も、やがて終わりに近づいて、秋になろうとしていたころであります。まだ暑い日がつづきました。子供らはみんな、涼しい寺の境内にやってきては鬼ごっこをしたり、かくれんぼをしたりして遊んでいました。
「この木は、天までとどいているよ。」と、子供の一人が、高いすぎの木を見上げていいました。そのときみんなは、遊びに疲れて、木の下にやってきて休んでいたのであります。
「ばか、天は、もっと、高いよ。」と、一人の子供がいいました。
「この木は、天までとどいているよ。」と、前にいった子供は繰り返していいました。
「ばか、天は、一里も、二里も、十里も、百里も、もっと、もっと高いのだよ。