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きそおんたけのはなし
木曾御岳の話
木暮 理太郎
「日本山岳会会報」1933(昭和8)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,366 字 · 15 页
二度目に行った時は、ちょうど二十九年で『日本風景論』を読んでいましたから御岳はつけたりで、立山を振り出しにどうしても槍へ登りたいと思って行ったのですけれども、案内者を傭って登るなんてことは知らなかったものですから、なんでも山へは一人で登るもののように思っていたのです。それで『風景論』を読んでみると三千五百三十一メートルと書いてある。富士山のほかにも高い山があるものだ、これはどうしても登らずんばあるべからずと思って行ったのですが、註のところに時に雷鳥、熊、かもしかを見ると書いてあるので熊に恐をなして断念しました。その時島々で穂高へ登ったらよかろうといわれたのですが、そんな名も知らない山へ登ったところがしようがないというのでとうとう登らなかったのは今から考えると甚だ残念です。兎に角御岳へ初めて登った時が、日本にもこんなに高い山が沢山あるぞということをまざまざと見せつけられたので、一番よく記憶に残って居ります。
後になって、ある日行きつけの本屋をちょっと覗いてみると『山岳』という雑誌が出ている。おや、これは大変なものがある。どんな人が書いているのだろうと思って開けてみると知らない名前が沢山列ねてある。