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「みぼうじんのしゅき」せんごひょう

「未亡人の手記」選後評

宮本 百合子

「婦人公論」1950(昭和25)年1~4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,472 字 · 7 页

青空文庫

そのような立場の人の妻であったという一人の女性のめぐりあわせ。私達に多くのものを考えさせる。

結局、こういう原稿の募集のなかでは、最も惨めな条件の畳まりで、社会の底に沈んでゆきつつある母や子の発言はきくことができない。より深い痛ましい今日の問題は、書かれないところで生きて解決をもとめている。そのことを痛切に感じる。

三

今回は、二十五篇の中から五篇をえらび出すことになった。わたしは「未だ亡びざる人々」、「尼になる日」、「未亡人のその名を呪う」、「或る女の手記」、「わたくしは生きる」をえらんだ。

「未だ亡びざる人々」を最後に附記されている『婦人公論』編集部宛の長瀬澄江さんのことばまでとおしてよんだとき、その手紙と本文の文章とのあいだに、切なさとはこういうものと思わせずにいないすすり泣きと、それをこらえて笑っている若い女の人々の肩のふるえを感じる。三回の応募原稿をよんだ中でわたしはこの一篇から忘れることのできないひびきを伝えられた。

岡村順子さんの「尼になる日」、そこに幸福はないことをはっきりと見とおしながら夫を失った二十五歳の女性がそのことによって生活も失って、敗北と知りながら恐怖をもちながら、尼の生活に入ってゆこうとしている心持が飾りなく語られている。