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みかいのはな
未開の花
宮本 百合子
「婦人公論」1937(昭和12)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,052 字 · 6 页
アンネットとジュネヴィエヴとの間には、共通なものと全く別のものとがある。旧来の結婚の形式が偽善と心ならぬ犠牲、真実の愛の感情さえ殺すような重しを女にかけることに抗議する心持の上で、この二人は全く同腹の姉妹である。けれども年上であり、成熟した女性であるアンネットの肉体と精神との中には、既に感覚として、自覚される欲望として異性を愛し、抱擁しようとする熱情があるのであるが、若いジュネヴィエヴはこの点ですっかり違う。「私の肉体は少しも私の精神の脱線を諾わなかったのです」そして、彼女はそういう自分の肉体の行儀よさに立腹したりした。現実の感覚を知らぬジュネヴィエヴは、非常に率直に、具体的な言葉で問題を出すが、情熱がさめているアンネットの方は、すべてをもっと抽象的に話す。これも、作者の洞察の二様の鋭さであって深い興味を呼びおこす点である。
近頃日本でも一部の若い女のひとが結婚はせず母にはなりたいという、その言葉の中に、どれだけの現実性があるのだろうか。又どれだけの部分が文学的な表現であり、更に下っては誠意のない一つの嬌態なのであろうか。
女がその生涯の終りに、自分が女であることの歓喜に包まれて死ねるように生きたいと希う心は激しくつよいのであるが、女としてのよろこび、悲しみの自覚のむこう側にはいつも分担者としての男が