轻松读懂日语经典作品
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すえっこ
末っ子
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1957(昭和32)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,564 字 · 55 页
「どうしてお約束だけでもなさらないんです、お嬢さんのほうでも貴方を好いてらっしゃることは御承知でしょう」
「ばかなことを云うな」と平五はちょっと赤くなる、「おれが家を出て一家を立てるにはまだ相当ときがかかる、三年かかるか五年かかるかわからない、そんな状態で婚約などできるもんじゃないさ、こっちはいいが向うはおばあさんになってしまう」
「だから思いきって道具屋におなんなさいっていうんですよ」
「その話はよせ」と平五はにべもなく頭を振る、「侍には侍の血があるんだ、仮におれが道具屋になりたいと思っても、先祖から伝わっている侍の血がゆるしはしない、おれにはそれがわかっているんだ」
「そういうもんですかな、こわいみたようなもんですな」
「おいもうあの娘のことは話さないでくれ」
八月になって、母が木挽町の家へ帰った。
その月の十日の会のあとで、来月は家蔵の刀剣を持ち寄ることになった、ということを平五は聞いた。すぐ考えたのは新庄の叔父のことで、彼は田村小路の家を訪ねてみた。叔父は四十七歳で子供が七人ある、三十過ぎての結婚だから、長男がようやく十五歳で、末の娘はまだ二歳にならない。