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すえっこ

末っ子

山本 周五郎

「オール読物」文藝春秋新社、1957(昭和32)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,564 字 · 55 页

青空文庫

そしてまた、細江から買った短刀を取りあげてみせた、「いかがですかこれは、いちど見るだけでも見ませんか」

平五は受取って、ちょっと抜いてみたが、すぐに首を振りながらそこへ置いた。

「その、――」と平五が云った、「まえに細江さんから買ったというのを見せてくれ」

清兵衛は立って、店いっぱいのがらくたの中から、その大小を取り出し、布で埃を拭いて平五に渡した。平五は脇差を見、次に刀を見た。どっちもうまくない、備前物のようであるが、すがたに品がなかった。

「値打は拵えだけです」と清兵衛が云った、「鞘もまだ使えるし、笄と目貫が幾らかになるでしょう。もうばらして売っちまおうと思っているんですが」

平五がふいに「ちょっと」と云って、刀をそこへ置き、まえの短刀を取った。こんどは鞘をはらって入念にうち返しを眺め、それから目釘を抜いて中心をしらべた。

「どうなさいました」と清兵衛が訊いた。

平五は黙って刃を見、中心を見た。

「これは焼身だな」と平五は呟いた、「たしかに火で焼けたものだ、焼直しに相違ないが、地鉄も刃もしっかりしている、研いでみないとわからないが、刃文のあんばいだと相州の古刀に似ている」