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すえっこ

末っ子

山本 周五郎

「オール読物」文藝春秋新社、1957(昭和32)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,564 字 · 55 页

青空文庫

次兄の(木下の養子)杢之助は云う。

「あいつは末っ子のあまったれで、いくじなしのくせに向っ気が強くって、へんにこすっからいとこがあっていやなやつだ、ゆだんのならないおっちょこちょいだ、おれはあいつの顔を見るといつもぼんのくぼが痒くなったものだ、いまから云っておくが、あいつはろくなやつにはならないぞ」

長姉の(土方へ嫁した)よねは云う。

「平五さんは妙な子でした、あまったれで、そのくせませていて、少しも可愛げのない、きょうだいの情のうつらない子でした、土方の親類に婿縁組のはなしがあって、いい縁だったのにあの子は断わったのです、あのときに土方も怒るしあたしもくやしゅうございましたが、いま考えてみるとそのほうがよかったと思います、あの子が土方の一族になるなんて、いま思うとぞっとするくらいです、父や母がいまでもあの子に手を焼いているかと思うと、本当に気の毒だと思います」

次姉の(米良へ嫁した)くには云う。

「あのひとですか、そうねえ、末っ子だし、おばあさまが猫っ可愛がりに可愛がりましたから、ちょっとあまったれなところもあるようだけれど、でも存外しっかりしているし、思い遣りの深いところもあって、これは誰も知らないでしょうけれど、新庄の叔父さまなどにはときどき貢いでいるようですよ、うちでも主人がだいぶ贔屓で、小出では平