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すえっこ
末っ子
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1957(昭和32)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,564 字 · 55 页
ほかの者ならとにかく、新庄の叔父がしゃべるという法はない、それだけは叔父はしてはならない筈だ。なんというなさけない腰ぬけだろう、まるで女の腐ったような人じゃないか、平五は歯がみをした。
「きさま聞いているのか」と玄蕃はどなっていた、「持って来いと云ったら持って来い、さもないと量見があるぞ」
平五は父を見た、「量見とはなんですか」
「口答えをするか」
「量見があるとはどういうことですか」
「おれは短刀を持って来いと」
「いやです」と平五は父を遮って云った、「叔父さんが話したのなら御承知でしょう、あれは私がみつけて私が買ったものです、たとえ父上の申しつけでも、私は絶対に手放すことはできません、お断わりします」
「云ったな、こいつ、絶対にと云ったな」
「念には及びません、申しました」と平五は挑みかかるように云った、「さあ、うかがいましょう。量見があるとはどういうことですか」
「勘当だ」と玄蕃が云った、「きさまはたったいま勘当だ」
「理由を仰しゃって下さい」
そこへ母が「平五さん」と云いながらはいって来た。玄蕃はそれで却って怒りの焔を煽られたように、口出しをするな、と声いっぱいに喚きだした。