轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

すぎがき

杉垣

宮本 百合子

「中央公論」1939(昭和14)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,051 字 · 30 页

青空文庫

「峯子の恬淡さはね、世間の妻君たちにくらべると或は例外かもしれないんだよ」

と云った。

「東洋経済の調査部員なんて、今の時世じゃ、てんから社会的な地位なんぞと云える種類のものじゃないからね」

穏やかに自分からつきはなしたように云っている、その調子に却って慎一が兄の就職すすめを重く考えかけている傾きが感じられるようで、峯子は浅い不安にとらわれた。

二十歳ちかく年の違う実家の長兄の鴻造が、義弟である慎一のために職業の世話をしかけたのは、これが二度目であった。初めのときは、まだ照子が生れないうちで、その話は慎一が熟達している語学を国外で役に立てる方面の仕事であった。

「峯子の語学だって、それだけものになっていれば、どうして捨てたもんじゃない。どうだい。ひとつ夫婦相携えて雄飛してみちゃあ。若いうちに、そういう経験をするのも悪くないよ」

鴻造は、それが彼の社会的な重みも示すものとなっている、誇張した話しぶりに自分では気付かず、そんな表現をした。そのとき慎一は、

「僕はそういう向きじゃないようだ」

笑いながらだが、はっきり云った。

「そんな荒仕事にはとても向かない人間ですよ」