轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ひがしやまじだいにおけるいちしんしんのせいかつ
東山時代における一縉紳の生活
原 勝郎
「藝文」京都大学文学部、1917(大正6)年8月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,142 字 · 134 页
ここでちょっと実隆の相続人たる公条のことについて説明しよう。公条実は実隆の嫡子ではない。文明十六年に生まれ、公条よりも三歳長じている兄があった。しかるに実隆はこれに家督を相続させない。その理由は、実隆みずからその日記において語るところによると、抜群の器量でもない子は、強て相続させたところで、笑を傍倫に取るのみで、その益ないことであるから、息子が何人生れようと、皆ことごとく釈門に入れようと、多年思慮しておったのである。しかしながらまたよく考えてみると、近ごろ世間には、数年断絶したことの知れている家を、縁りのない他氏他門から、勝手に相続することもある。いま自分が名を重んじて跡を断ったからとて、後になってどんな者に相続されるかも知れない。また自分の子を釈門に入れたからとて、それで永く家が断えるともきまらぬというのは、近ごろ出家した者の還俗首飾する例が多いのでもわかる。なまじいなことをして、狗をもって貂に続き、竹を栽って木を修むるような仕儀に立ち至らしむるよりは、いっそのこと己の子をもって、相続せしむる方がよいとのことだ。実隆が己の子に跡目をつがす決心をしたことは、それで合点が行くけれど、長子を措いて次男を相続人に定めたことは、これだけでは分明でない。