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とうようぶんかしにおけるぶっきょうのちい
東洋文化史における仏教の地位
高楠 順次郎
外務省文化事業部に於ける講演、1930(昭和5)年2月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,830 字 · 69 页
するとそれじゃ怪しいものだという人があるでありましょうが、インドはなかなか怪しくない。バラモンの教えには三吠陀といって十万頌もあるものを今まで曽て書いたことはない、口から耳に伝えているのであります。それは一音々々を順に読み習い、またそれを逆に読み習い、また第一字から第三字、第五字から第七字というように文字を飛んで習い、それから第二字と第四字、第六字と第八字というように読み、それを合せて覚えるというふうに、記憶の方法は至れり尽せりで、練習に練習を重ねて覚えているのであるから忘れるだろうというようなご心配は要らない。しかしかかる大変なものを頭の中に詰め込んでおこうとする努力は非常にインド人には強いのでありますが、一方それがためにインドの文明は停滞するようになってきたのである。シナでは文字を覚えなければならぬ、それがために俊才は文字を覚えまたこれを使うのに非常に頭を労するので文明が自然停滞するようになったという学者もあるのでありますが、かかる努力の偏重はよほど文化に関係することであろうと思います。
とにかく仏教の方は四百年しか覚えることが出来なかったが、バラモン教の方は今に至る四千年間覚えているのであります。