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とうざいりょうぶんめいのちょうわをろんじてていこくのしょうらいにおよぶ
東西両文明の調和を論じて帝国の将来に及ぶ
大隈 重信
東京神田共立女子職業学校で開催された講演会における講演、1916(大正5)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,787 字 · 14 页
ここに於てか、蘭学の研究は益々盛んになり、兵書といわず、解剖学といわず、病理学といわず、更に博物学、地理書を問わず、あらゆる方面のものが翻訳され、これらの知識に依って、日本は唯我独尊ではならぬこと、日本以外に勢力強大にして、而かも野蛮ならざる文明開化の国々のあることが知れた。
かくの如く新文明の知識に依って自覚したいわゆる積極的なる人々のある一方には、旧来の事物に心酔し、国威を冒されんことをのみ懸念する消極的人物があった。かくの如き事はいずれの時代にも免れない。ところでその当時もまたこの例に洩れず、新文明の知識を謳歌する者のある一方には、在来の儒教、仏教の精神に執着する者があった。これいわゆる新文明と旧文明の衝突で、進歩上の大蹉跌というべきである。一般国民をして外国の事情に通ぜしめねばならぬのに、これを知らしめなかったのは当局者の大失態であった。彼を知り己を知ることは学術に於ても、また商工業に於ても極めて緊要なことである。他を知らぬところから進歩が停滞する。いわゆる盲目蛇で、政治家が文明の活動を一般国民に知らせずにおいた、即ち目醒めかかった者に麻酔剤を飲ませておいた状態――これが我が日本の鎖国状態であった。