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かれおばな
枯尾花
関根 黙庵
「新小説 明治四十四年十二月号」春陽堂、1911(明治44)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,502 字 · 11 页
長堤を辛く城内まで漕つけ、藤堂采女、玉置小平太抔云う、藩政時分の家老屋敷の並んでいる、里俗鰡堀へ差懸ると俄然、紫電一閃忽ち足元が明く成た、驚て見ると丸太ほどの火柱が、光りを放って空中へ上る事、幾百メートルとも、測量の出来ぬくらいである、頓てそれがハラハラと四方に飛散する状は、恰も線香花火の消るようであった、雨は篠を束ねて投る如きドシャ降り、刻限は午前二時だ、僕ならずとも誰でもあまり感心はしまい。翌日旅館の主人に当夜の恐怖談をすると、彼は微笑して嘲るかの如き口吻で、由来伊勢には天火が多い、阿漕の浦の入口に柳山と云う所がある、此処に石の五重の塔があって、この辺から火の玉が発し、通行人を驚かす事は度々ある、君が鰡堀で出会たのも大体同種の物だろう、と云いおわって、他を語り毫も不思議らしくなかったのが、僕には妙に不思議に感じられた。
◎木挽町五丁目辺の或る待合へ、二三年以前新橋の芸妓某が、本町辺の客を咥え込んで、泊った事が有った、何でも明方だそうだが、客が眼を覚して枕を擡ると、坐敷の隅に何か居るようだ、ハテなと思い眼をすえて熟視ると、三十くらいで細面の痩た