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かきのきのあるいえ

柿の木のある家

壺井 栄

「柿の木のある家」山の木書店、1949(昭和24)年4月20日<br>「海のたましひ」大日本雄辯會講談社、1944(昭和19)年6月14日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 15,460 字 · 32 页

青空文庫

」

それでフミエはやっと安心しました。そのまたあくる日のことでした。夕食のあとおかあさんは、

「どうも今夜のような様子ですから、よろしくおたのみします。」

とおばあさんにいいました。そしてフミエに手伝わせて奥の納戸に床をのべ、部屋の片すみに柳ごうりなどをならべました。こうりの中に生れてくる赤ん坊の着物や、おしめが入っているのを、フミエも洋一もよく知っているので、もううれしくてなりません。洋一はおかあさんのそばへすりよっていって、

「ね、男の子だよ。」

とささやきました。おかあさんはふきだし、そしてすぐまじめな声になり、

「そんなこと、いうものじゃないのよ、どっちが生れても喜んでちょうだい。」

フミエはさすがになんにもいいませんでしたが、でも心の中では妹の方がいいと思いました。男だと洋一は自分だけの弟のようなかおをして、なかなかだかしてはくれまいと思ったからです。やがて産婆さんがみえると、

「さあ、きょうはおばあさんの部屋ですよ。もう八時すぎたでしょう。早くおやすみ。」

おかあさんの言葉に調子を合せて、産婆さんも白いエプロンをきながら、

「あしたの朝おめめがさめると、ちゃんと赤ちゃんがいますからね、たのしみにしておやすみなさい。