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かきのきのあるいえ

柿の木のある家

壺井 栄

「柿の木のある家」山の木書店、1949(昭和24)年4月20日<br>「海のたましひ」大日本雄辯會講談社、1944(昭和19)年6月14日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 15,460 字 · 32 页

青空文庫

」

こんなことを何度もくりかえしたのち、きりをつけるために二人はかけをしてねむることにしました。ふとんをかぶりじっと目をつぶりましたが、目はつぶっていてもひとりでに笑えてきます。がまんがならなくなった洋一は、フミエによびかけます。

「ね、姉ちゃん、もしも男の子だったら、ぼくが勝ったんだから百円くれるね。」

「うんあげる、そのかわり女の子だったら洋ちゃんがくれるんだよ。」

「うん。」

「ゆびきり。」

フミエが小指をさし出すと、洋一も自分の小ゆびをそれにからませました。

ゆびきり かねきり かり山へ とんでゆけ

二人は力いっぱい手をふり、そしていよいよこんどこそはと、ほんとにふとんをひっかぶり、やがて静かな寝いきを立てはじめました。どちらが勝つか、勝ってもまけてもたのしいかけごとです。

いく時間をねむったか、二人が目をさましたのはもういつもよりおそい、六時すぎのことでした。フミエがさきに、ぱっとはねおきますと、そのけはいで目をさました洋一もとびおきました。顔を見合せながら、耳をすますと、母屋の方から赤ん坊の泣声がきこえてきます。二人はわれさきにぞうりをつっかけて母屋の方へ走りました。